2011年9月21日水曜日

22歳のメリークリスマス

「サンタさんへ
ニンテンドーDSがほしいです。」

私は確かにそう書いた。

枕元には金玉みたいなチョコが2つ転がっている。

その横に手紙が添えてあった。

「サンタさんは世界中の子供達にプレゼントをあげなくてはいけないので、お金がありません。」

私が悪魔の手紙を読み終えると母親が近づいてきて、こう言った。

「プレゼントなんだった?チョコだったんだぁ〜。うれしい?」

1ミクロンも嬉しくはなかったけど、私は母親に嬉しいよって嘘をついた。

母親は笑いながら泣いていた。

私は母親がいなくなってからチョコを捨てた。

22歳のメリークリスマス。

サイクロン出産

「どう⁉生まれた⁉ハァハァ…」

私は義母に尋ねる。

「間に合ったねぇ。これから生まれるところだよ。」

透明のガラス越しに妻がいきんでいる。

「ん〜、ん〜はぁはぁ、ん〜」

「あ!出てきた!出てきた!」

私と義母は興奮する。

妻の変なところから赤ちゃんがゆっくりローリングをして出てきた。

まるでミニ四駆のサイクロンマグナムみたいだ。

私の妻の変なところからサイクロンマグナムが出てくる。

ミニ四駆みたいに速くはない。

とってもスローリィ。

ん?なんかおかしい。

違和感。

あれ?

あれ?

戻ってない?

戻ってる!

赤ちゃんが妻の中に戻っていく!

すかさず産婦人科の先生が私と義母に説明にくる。

「あなたの赤ちゃんは恥ずかしがり屋さんです。あまり凝視はしないで下さい。」

私と義母はサングラスを先生に手渡され、出産を見守った。

2011年9月16日金曜日

キューバの老人達へ

君のお尻はキューバの老人達へのすれ違い。

白い帽子に、くわえ煙草で街を闊歩する。

僕の靴下は、もう限界。

隣の席には食べ方が汚い美しい女性。

僕のおちんちん爆弾で爆死させてあげようか。

いえ、嘘なランニングホームランと我武者羅。

不親切なドアの開閉。

小豆洗いの矢吹ジョー婆婆が座り心地のいい缶コーヒーに座り、歩く人々を狂わす。

あっ!寝てた!

インカムモミアゲ

片モミアゲだけ生やしているお爺さんと横断歩道ですれ違った。

まるでインカムみたいな伸び方をされておられるモミアゲ。

誰かと交信しているのだろうか。

僕はインカムお爺さんに尋ねてみた。

インカムお爺さん:「誰と交信しているかだって?」

僕:「はい、興味本位ですいません。」

インカムお爺さん:「いやいや、いいんだよ、いいんだよ。」

インカムお爺さんは優しい口調だ。

インカムお爺さん:「私はねぇ、このインカムモミアゲで妻と交信しているんだよ。言っても十年前には死んじまってるんだけどねぇ。なんだか寂しくてねぇ、また妻と話したいなぁなんて思いながら交信しているんだよ。あの時は何も言ってあげられなかったから…。それをずっと後悔しているだけなんだよ…。」

インカムお爺さんはまだ奥さんと交信できてないらしい。

いつか交信できるといいのになぁ。

2011年9月15日木曜日

S極とN極

あなたが私の成長を見られなくなった事実に少々涙が滲みますが、そんなことはへっちゃらです。

なんたって私はひとりぼっちだけど、孤独ではないから。

あなたの瞼はまるでS極とN極。

もう開くことはないかしら。

魔法のキスでも無理かしら。

レーズンのパフパフ

このままパンの中にいたら自分は駄目になってしまうのではないだろうか。パンという、ぬるま湯に甘え、本来自分が持っている素材の味を忘れてしまうのではないか。

レーズンは悩んでいた。

悩み過ぎたお陰で頭の天辺に例えるならばフリスビーぐらいのハゲができてしまった。

仲間のレーズンにはキチガイ扱い。

このまま乾いていくのは耐えられないんだとレーズンは小麦粉のパフパフで叫んでいた。

日本語ケツティッシュ

英語が肘掛椅子に座り、踏ん反り返っている。

英語は勿論、英語でペチャクチャしているが日本語は日本語しか聞き取れないので何を言っているのか分らない。

怒った英語は日本語を裸にし、四つん這いにさせた。

そして英語は日本語のケツを英語で侵し始める。

日本語のケツは大量出血。

日本語はケツをチリ紙で拭く。

日本語ケツティッシュ。

CAN

クチョ助は電車内に落ちていたコーヒーの空き缶を拾った。

誰かが捨てた缶コーヒー。

周りの人々はクチョ助に苛立ちを覚えた。

(何この子、空き缶拾ったくらいで…。)(拾わなかった俺達?)(あーやだやだ。)(ヒーロー気取り?)(こーゆー奴いるよな。)

クチョ助は周りの人々の視線を引き千切って拾った空き缶をゴミ箱に捨てようとした。

するとゴミ箱には「CAN」の文字。

クチョ助は何の変哲もない、ただのゴミ箱の文字を噛み締めた。

「CAN」

僕にもできるんだ。

クチョ助は勇気をもらった。

「CAN」

そう、きっとあなたにも。

『CAN』

2011年9月8日木曜日

人糞カレー

頭の天辺が薄く、太っている黒ぶち眼鏡男と人糞カレーを食べに行った。

食糞趣向の彼は大興奮の様子。

人糞カレー屋さんは路地裏の地下二階にあるらしい。

僕と食糞デブは薄暗い階段を下り、重々しい雰囲気の店内に足を踏み入れた。

「いらっしゃい。」

この店の店主らしき男がカウンターの中からソプラノ声で出迎えた。

僕と食糞デブはカウンター席に座り、メニューを開く。

僕に食糞趣向は、さほど無いので比較的に食べやすそうな「ノーマーク」という名のカレーを頼んだ。

問題は食糞デブの方。

ドクロマークが五つもある「ナリタブライアン」というカレーを注文していた。

そのネーミングから、もはや馬糞が入っているのではないかと連想したが、食糞デブに気にする様子などはまるで無く、続く彼の言葉に僕は絶句した。

「カレー80%OFFで!!」

とうとう人間はここまで登り詰めたらしい。

何が正しくて何が間違いなのか僕には分らなくなっていた。

カレー80%OFF…。

ほぼ糞じゃねぇか!と僕は心の中で叫んだが、食糞デブは何のその。

人糞カレーは人を狂わせる。

リアリティなどまるで無い物語に生々しいリアルだけがそこにはあった。

7つの山葵ボールを持った老人

お尻が2つにわれちゃったぜ〜
って歌っていたら、7つの山葵ボールを持った老人に、これでもかっていうくらい説教された。

最終的には先祖が悪いって結論で落ち着いたが山葵ボール老人はまだまだ満足していない御様子。

欲求不満の山葵ボール老人は大人なのに号泣している僕の首根っこを掴まえ、引きづり、目一杯持ち上げ地面に叩きつけるという残虐非道のインスタントラーメン。

「どこ…に、そん…な力があ…るの…?」

地面から顔しか出ていない僕は薄れゆく髪の毛と意識の中で問い掛けた。

「ウォーキングだ!」

山葵ボール老人は元気にそう答えたが僕は未だに納得していない。

催眠療法、時給キス換算

催眠術をとく。

乳首を舐めて悪魔払いの儀式

ウオー。

まるでエクソシスト。

ほげー。ほげー。

ちょ、ベイベー。

催眠術教室でアルバイト

生徒はエクスタシー。

時給、キス換算を目論む先生。

若夫婦と毒フルーツ

隣のベンチの若夫婦が鼻くそを食べていた。

時には二人で微笑みながら鼻くそを食べさせあっている。

ベビーカーには赤ん坊。

空を流し目で見ている。

幸せそうな家族の風景がそこにはあったが、鼻くそというフィルターを通して段々と不幸に見えてきた。

不思議なものだなぁと独り言。

僕は、さっき八百屋で買ってきた毒フルーツをひとかじりした。

しかし毒フルーツは、やっぱり人間にとって毒だった。

好奇心で食べちゃったけど、下手したら死んじゃうよなぁ。

僕はゆっくりと深呼吸をして、ゆっくりと吐血した。

そのまま倒れこんだ僕。

隣のベンチの若夫婦は僕に気付いていたのに流し目一発で無かったことにしたらしい。(目撃談)

私の父は1㎗

「おまえの父ちゃんデーシリットル!」

小学生の頃、友達に言われた悪口。

事実、私の父は1㎗しかない。

コップの底に気持ち程度だ。


「父さん、今日学校で友達にお前の父ちゃんデーシリットルって言われたよ。」

私はコップの底にいる父に無表情で話しかける。

父は言った。

「事実じゃないか。」

父も無表情だった。

深緑色の小さな点

なんか痒いなぁと思ったら小さな虫が僕の腕でウンチをしていた。

深緑色の小さな点。

これはウンチなのか?

というよりも虫ってウンチするのか?

あぁブツブツになったらどうしよう。

痒いのが一晩中続いたらどうしよう。

病気とかになったらどうしよう。

トラウマになったらどうしよう。

兄が三十六歳にしてフリースタイルになった

兄が三十六歳にしてフリースタイルになった。

フリースタイルが何のスタイルかは分らないし、今までが何のスタイルだったのかも不明だが、とにかく三十代半ばを超え、フリースタイルになった。

母は泣いていた。

父は好きにしろと言っていた。

僕は兄にどう接すればいいのか分らないでいた。

2011年9月4日日曜日

嘘うどん

嘘うどんを食べに都会へ行った。

いけ好かない店員に満足顔の客、気取った店内。

苛立ちすら覚える雰囲気に空腹がその怒りを増長させる。

客が込み合っているせいか嘘うどんがくる気配はまるでない。

タイムリミットは1時間らしいが勿論嘘うどんを作ってる時間は差し引いてだろうな?

ようやく嘘うどんがテーブルに到着した。器が嘘みたいに大きい。

私は嘘うどんを口に運ぶ。

「美味しい。」

私は思わず声を漏らしてしまった。

それ程にこの嘘うどんは美味しい。否、美味し過ぎる、美味し過ぎるのだ!

“うどんが美味し過ぎる”

私はこのうどんが美味し過ぎる事象にはたはた疑問を感じる。

うどんは美味し過ぎてはならない。うどんは美味し過ぎてはならないのだ!

なぜかって?ちょ、ごめん。そこまで考えてなかったから、後でちゃんと考えて連絡すんね。うん、うん、わかった。じゃーねー!

ガチャッ、ツーツーツーツー…。

2011年9月3日土曜日

トイレとパスタと花火

友人宅のトイレ。真っ白い壁の小さなトイレ。

私は何故かその小さなトイレの便器の中に入ってみたい衝動に駆られる。

頭から入水してみようか、それとも足先からにしてみようか。

友達は只今外出中。こんなチャンスはそうそうもない筈だ。

便座に手を掛け、そっと扉を開いた。

トイレの中段にはコンビニで買ったであろうタラコスパゲティ。下段にはファミリーセットの花火が入っている。

花火…。

私は一言呟いてファミリーセットの花火を手に取った。

悔しさをバネに

電車を乗り過ごすのって凄く悔しい。

その悔しさをバネに変える為にバネ工場に行きました。

僕:「すいませぬ、この悔しさをバネに変えたいのですが御座候。」

工場長:「若え者にしちゃ珍しじゃないしゃー。おー、ぢゃー悔しさをバネに変えたるごたる!」

腹巻お腹を傷つけない様に爪を立てない様に揉みながら、バカボンのパパみたいな親父が工場から出てきた。

いや、親父みたいなバカボンのパパ。
いや、パパみたいなバカボンの親父。
いや、パパみたいな親父のバカボン。
いや、バカボンみたいなパパと親父。
いや、バカボンとパパと親父が工場から出てきた。

少しややこしくなってきたので、バカボンとパパを僕のローリングソバットで一蹴。工場長の親父に悔しさをバネに変えてもらい、そのバネを両脚に装着して乗り過ごした駅へジャンプして戻った。