2011年8月31日水曜日

僕とガムとトランペット

窓から見えるアンテナが矢印に見える。

どうも気になったので矢印の方角に進んでみると、そこには1本の木と立て札があった。

立て札には「↓伝説のトランペット」と書いてある。

僕は夢中になって掘り進めてみた。

するとそこには立て札に書いてある通りにトランペットが。

僕はそのトランペットを試しに吹いてみた。

「ぷぅ〜ん」

僕は自分の目を疑った。トランペットの先から得体のしれないものが膨らんだのだ。

(むむ、これはガムだ!)

薄いピンク色の甘い匂いのガム。そのガムがトランペットの先の穴に張り付いていたのだ。

ガムは、どんどん膨らんでいく。僕は、とうとう宙に浮き出してしまった。

上昇する僕とガムとトランペット。

僕は落ちないようにガムトランペットに両手でしがみつく。

僕はこのままどこに行くのだろうか。

決定していることが一つだけある。

ガムが萎んだり、割れたりしたら確実に僕は死ぬ。

遅かれ早かれ、僕は絶対に死ぬ。

チンポコ丸出しオッサン

自宅の斜め向かいのオッサンがチンポコ丸出しで座っている。

ベランダで何をするでもなく、風呂場で使うような椅子に、ただただ座っている。

たまに自分の両腕をチラチラ確認したり、足を揉んだり。

僕はその光景をベランダの隅から、ずっと眺めている。

一体あのオッサンは何をしているのだろうか。

まさか以外と宇宙に行ってみたいなぁなんてロマンチックなことは考えてないだろうか。

はたまた、自分の人生を振り返り、俺ももうそろそろかなぁとか考えちゃいないだろうか。

オッサン!まだまだ頑張ってくれよな!俺がずっとここで見てるからさ!

オッサンのチンポコが夕日に染められ真っ赤になった。

そこにはチンポコ丸出しオッサンの潔さや儚さがうつしだされ、僕は必死で唇を噛みしめた。

ガマン欠乏症とユルスワクチン

現代の日本人のオバさんは忍耐や我慢することを忘れてしまっている。

ガマン欠乏症と名付けよう。

僕は、そんなオバさん達にユルスワクチンを打ち込んでやろうと目論んでいる。

ユルスワクチンとは、打ち込むことによって閉経後のイライラ、すなわち更年期障害によるホルモンバランスの崩れ、エストロゲン分泌量の低下を緩和し、人に優しくなり、いつも和やか、高圧的な性格を正すという役割を担うワクチンなのだ。

いやしかし、まてよ。彼女達は我慢をしつづけてきたのではなかろうか。

稼ぎが変わらない夫に反抗期街道真っしぐらの息子、両耳ピアスだらけの娘にいつまでたっても飼い主を認識しない馬鹿犬、さらには毎日の炊事洗濯、家事全般。

そう、彼女達は我慢し続けてきたのだ。虐げられ続けてきたのだ。

もう我慢することはないさ!
さぁ!理不尽に怒ってくれ!イライラしたまえ!今までの我慢を開放するんだ!僕がユルスワクチン!!

2011年8月18日木曜日

ちりめんじゃこ

俺とピンクお兄さんがテントの中に入ると、ちりめんじゃこが散乱していた。

俺はピンクお兄さんと顔を見合わせる。

俺にも心当たりはないし、ピンクお兄さんにも心当たりはない。

テント中央に散らばった、ちりめんじゃこを二人で一心不乱にかき集めた。

どうする?とピンクお兄さん。

俺は数秒間考え、ちりめんじゃこを手にすくってピンクお兄さんの顔面に投げつけてみた。

ピンクお兄さんはヒャッと女の子みたいな声をだした。

夏の暑さのせいでベタベタしていたピンクお兄さんの素肌に、無数のちりめんじゃこがペタペタひっつく。

ピンクお兄さんは苦笑い。

俺はそんなピンクお兄さんが愛らしくて、頬にくっついた、ちりめんじゃこをペロペロ舐めてあげた。

ピンクお兄さんは俺の頭や体の毛を乱暴に撫でて、ちりめんじゃこを食べさせてくれた。

俺は嬉しくなって尻尾を振ってワオーンと言った。

2011年8月16日火曜日

餃子

空が餃子の皮みたいだ。

まさか今、僕が生活しているのは餃子の中味の部分?

僕が住んでいる所はひき肉の部分?

迷ってしまったので、お寺に相談しに行ってみた。

偉い坊主:「若いのによく気が付いたねぇ。君の言う通りだよ。地球は餃子の皮なんだ。その中味で我々人類が住まわして頂いている。そのことを皆が皆忘れてしまっている。このまま地球を邪険に扱って、もし餃子の皮が破れでもしたらどうする?具が飛び出して中味がスカスカになってしまうだろ?自然の摂理とはそういうことなんだ。」

僕:「ナルホド!よくわかりました!ではこの地球という名の餃子は仏様がお作りしたのですね!」

偉い坊主:「いやいや違う、違う!餃子を作ってんのは業者とか中華屋とかだから仏様は餃子作ってないから!」

僕:「え?だってさっきは…」

偉い坊主:「さっきはさっきだからぁっ!!お前に話しを合わせただけだからぁっ!!仏様ってそんな軽々しくないからぁっ!!わたしってそんな軽くないらぁぁぁあっっ!!!」

僕は偉い坊主に地獄突きをカマして、落ち込んでトボトボ寺を後にした。

2011年8月15日月曜日

ハムの歌

電車に乗っていると隣の人が2メートルぐらいのヘッドホンをしていた。

でかすぎる。

2メートルのヘッドホンからは音漏れ親不孝。

ハムの歌が爆音で吹きこぼれていた。

車内は込み合っていたが、誰も彼も瞑想中。

僕の側頭部に2メートルのヘッドホンがガッツンガッツン。

僕は思わず横目でチロリ。

隣の人はヘッドホンが大きすぎるために行方不明。

性別も国籍も服装も迷子状態。

例えるならばアサリだ。

いや、ハマグリだ。

ハムの歌を聴きながらヘッドホンという殻に閉じこもる。

これまた一興。



恥ずかしいから

道を譲らない人には道を譲るし

謝れって言えば土下座するし

金払えってことなら金払うし

靴舐めろなら靴舐めるし

唾でもタンでもかけられたって何も言わないから

口が臭いよとか

ワキガの臭いするよとか

顔から産毛生えてるよとか

まゆ毛繋がりそうだよとか

そういった類のものは言わないで

恥ずかしいから

みんながいる前でとか特に言わないで

恥ずかしいから

せめて二人のときに言って

そんでもって、その後にみんなに言いふらさないで

恥ずかしいから

2011年8月14日日曜日

誕生日おめでとうございます

ダイエットを始めて2日で3kg落としました。

今の私の飲み物はヘルシア緑茶と黒烏龍茶とルーツのアロマブラックです。

食べる物も気を付けて脂肪分がありそうな食べ物は一切食べていません。

脂肪を落とす漢方薬も飲んでいます。

1日、9錠も飲まなくてはいけないので大変といえば大変です。

しかし、これで痩せられるのであれば、大した苦労でもありません。

誕生日おめでとうございます。

関東デコざらし連合

関東デコざらし連合に加入した僕はピンセットで一本、一本おデコの生え際の毛を抜いていきます。

デコをさらさなくてはならないんです。

剃り込みとはワケが違います。

ピンセットで一本、一本抜いていくんです。

血が毛穴から噴き出し、親兄弟には白い目で見られ、それでも連合に残りたいからおデコをさらすんです。

ズルムケ、もものけ、おデコの毛。

もはやサイモン&ガーファンクルのアイツみたいになっています。

三人でツーショット

写真家:「はーい!じゃあ三人でツーショット撮りますよー!笑ってー!」

僕:「あ、すいません!ツーショットってことは僕はどうすればよろしいんですか?」

写真家:「ん?ん〜、とりあえずツーショットを撮りたいから。ん〜、君はボワっと写り込めたりできるかな?」

僕:「ボワっと?」

写真家:「ん〜、なんていうか、蒸気みたいな感覚を自分自身で表現して欲しいんだよねー。」

僕:「難しいですね。」

写真家:「というよりも、映らないで欲しいんだよねー。」

僕:「え?」

写真家:「だってツーショット撮りたいからさ。じゃあこうしようよ!君は下半身だけで写って、そこの君は上半身だけ写る。そしたら三人でツーショット撮れるよ!あ!いいじゃん!そうしようよ!」

僕:「わかりました。僕が下半身で、彼が上半身ですね。」

写真家:「うん!じゃあ!上半身と下半身を電動ノコギリでちょん切って二つにしてみよっか。で、君の下半身と彼の上半身をくっつけよう!あ!それいいじゃない!」

僕:「いいじゃないですか!やってみましょう!やってみましょう!」

そして無事に三人でツーショットを撮り終えた。

僕は下半身。彼は上半身。

2011年8月12日金曜日

夜にクラブでクラブミュージック聴いてる人より、夜に一人でラジオ聴いてる人の方が好き

初めて間近でナンパをしている所に遭遇した。

駅の近くの喫煙所でタバコを間抜け面で吸っていると、近くにタバコを吸っている美少女がいた。

そこに近付く腰巻を巻いた一人の男。

バイト中なのは一目でわかる。

腰巻男は、美少女に近づき話しかけだした。

おネェさんかわいいね。名前なんて言うの?

へぇー、友達にもおんなじ名前の娘いるわ。大体この名前の娘は可愛いんだよねぇ。

いま、バイトの休憩中なんすよ。よかったら今度飯でも行きませんか?

クラブとか行きます?などなど。

なんて積極的な人なんだ。

こういう人がモテていくんだろうなぁ。

そして消極的な子鹿ちゃん達は指を咥えながら、いいなぁとか、死ねよとか、俺は別に女とか興味ねぇからとか言って、外野のアルプススタンドに追いやられるんだろうなぁ。

それでも僕は夜にクラブでクラブミュージック聴いてる人より、夜に一人でラジオ聴いてる人の方が好きだなぁ。

僕の好き嫌いはどうでもいっか。

ポイっと

電車の中で立ちながら本を読んでいると、なにやら若いカップルが抱擁しながら会話をしてる。

虎の模様の様な髪の色をして、鼻の横にピアスをしている男と真っキンキンの髪の色でマスクをしてスウェットを着ている女だった。

ここは本当に日本なのかと錯覚した僕。

男女の会話が気になり、読んでいる本をパタリと閉じて聞き耳を立ててみた。

わたしスッピンみせられないよ〜
スッピンでも変わんないと思うけどな
ドン引きするよ〜
俺、スッピンの女の方が好きなんだよな〜

なんだこいつ等は。

と思った僕は2人をゴミクズのように丸め、2、3回踏み潰し、少しライターで炙り、それを鼻から吸い込んでゲロと一緒に吐き出し、電車の窓からポイっと捨てた。

面接官のメガネから汗が土砂降りハーモニー

ナメクジの塩大学の入試が始まりました。

次は面接です。

面接官:「お入りください。」

僕:「2番、僕です。」

面接官:「はい。どうぞお掛けください。」

僕:「失礼します。」

面接官:「さっそくですが、面接の課題である自分の中の『豆らしさ』を表現してください。」

僕:「わかりました。」

僕は自分の中にある豆らしさを目一杯、表現した。

その瞬間、面接官は拍手をしながら立ち上がった。

面接官:「ありがとうございます。こんな素晴らしい『豆らしさ』をいまだかつて見たことがありません。いいものを見させていただきました。」

面接官のメガネからは汗が土砂降りハーモニー。

これは絶対合格したな。

イースト筋

イースト筋がやっとついてきた。

マッスルアカデミーに入学してはや二年、毎日イースト菌を体に塗りつけた。

他の生徒が僕を白い目で見る。

なにやってんだコイツはとか。

無意味なことをいつまでもとか。

そんな陰口を僕は知っていた。

それでも僕は自分のことを変えたりはしなかった。

誰に何を言われても、そこだけは譲れなかった。

いつの日か絶対イースト筋をつけて、僕を邪魔者扱いした人や、クズ扱いした人にラリアットしてやる。

その思いだけが僕を動かした。

そして最近、イースト筋がやっとついてきた。

僕はこれを奇跡だなんて呼ばせない。

言葉は風

言葉は風だ。

嘘ついてない?

違うよ。嘘なんかついてない。

それは昨日の言葉だよ。

そこに嘘なんてなにもない。

今日の言葉があるだけさ。

ゴリーの挑戦状

私の名前はゴリー。

突然だけどソバ三郎、あなたに挑戦状を叩きつけるわ。

なにで勝負するかって?

決まっているじゃない!

うどん作りよ!

あっ!違ったわ!ソバ作りよ!

どちらのソバがどれだけ美味しいのか競うの!

あっ!違ったわ!どちらのソバがより美しく作れるかよ!

実はあなたの父、ソバ二郎は私の師匠なの。

あっ!違ったわ!愛人よ!

私にソバ作りのイロハを手取り足取り教えてくれた。

あんなカリスマ性のあるソバ打ちは見たことがないわ。

そのDNAを受け継ぐあなたが羨ましい。

ていうかあなたのお父さんを愛してる。

なんで私を捨てたの?

なんで?なんでなの!?

あなたの家庭をムチャクチャにしたい。

私を愛して!

誰か私を愛してーー!!

2011年8月11日木曜日

カスラクダとパン帝国

カスラクダに乗ってパン帝国を目指します。

砂漠の入り口付近にレンタルラクダがあったのですが、最近は盛況らしく、カスラクダしか残っていませんでした。

仕方がないので僕はカスラクダをレンタルすることに。

登録を済ませ、店長にラクダ小屋まで案内されました。

カスラクダは驚いた様子で東のまつ毛と西のまつ毛をパチクリんさせています。

店長がカスラクダの耳元で何やら囁きました。

カスラクダは首を横に振っています。

そして店長が僕に近づいてきて
、こう言いました。

「ちょっと今日はスロットのイベントらしくて、行けないみたいなこと言ってるんですが、どうしますか?」

「いや、僕は今日中にパン帝国に行って、お腹を空かせた家族にレーズンパンを買わなくてはならないんですよ。お金は余分に払いますんで、どうかカスラクダを貸しては頂けませんか。」

店長は僕の言葉に頷くとカスラクダともう一度、交渉しに行ってくれました。

またもやカスラクダの耳元で店長は呟やいています。

カスラクダはまたもや首を横に振りました。

そしてカスラクダは逆に店長へ耳打ちをしています。

店長は僕に近づいてきてこう言いました。

「今日は熱いイベントだから、どうしても無理だそうで、よかったら一緒に来ないかと誘ってるんですけど、どうしますか?」

僕は一瞬迷ったのですが、カスラクダと一緒にパチスロに行くことにしました。

パチンコ屋さんに着いた僕とカスラクダは隣同士で座り、二人でプラス8万円も儲けて帰りました。

レーズンパンは途中のコンビニで大量購入しました。

泥棒のシスター

姉が泥棒をした。

何を盗んだの?って聞く。

何も盗んでないって言う。

なんで泥棒って呼ばれているの?

なんで泥棒のシスターなの?

お母さんは姉を叩いた。

カリブの海賊の剣で叩いた。

海賊の剣で盗賊の姉を叩いてはいけないと思った。

2011年8月10日水曜日

ピンクのお兄さん

ピンクのお兄さん。

全身お兄さん。

足の裏から頭のてっぺんまでピンクのお兄さん。

警察の職務質問。

ピンクの唾を吐くお兄さん。

公務執行妨害で捕まるお兄さん。

取調べを受けるピンクのお兄さん。

全部正直に白状するお兄さん。

指紋をとられるお兄さん。

パトカーにのるピンクと警官。

指をさすピンク。

それを撮る警官。

ヘルシー親方

最近相撲部屋に入門したのだが困っていることが一つある。

親方がヘルシー思考なのだ。

つまり、ヘルシー親方なのだ。

起床して、朝からサラダを12キロも食べさせられる。

そのおかげでお通じは絶好調なのだが、先輩力士たちがどんどんスマートになっていく。

入門した時よりも痩せてしまった先輩もいる。

ヘルシー部屋のみんなは肉をあまり食べない。

油は控えめで、サラダも何もつけないで食べる。

ヘルシー親方もみんなもどんどんカッコよくなっていく。

服もどんどんダボダボになっていく。

相撲もどんどん弱くなる。

一撃で吹き飛ばされる。

ピロー温泉

週末だし旅行に行こう。

僕は秘湯ピロー温泉に一人で向かった。

服を脱ぎ捨てピロー温泉に入る。

ピローが身体の汚れを喰っていく。

心の汚れもピローが喰った。



ピロー温泉には僕ともう一人、ガリガリのお兄さんが入っていた。

ガリお兄さんがピローにパクパクされている。

ガリお兄さんは目を瞑って気持ち良さそうだ。

あれ?

ガリお兄さんの痩せこけた身体にピローが集まってる!

あぁ!あぁ!ガリお兄さんにピローが集まって太って見える!

なるほど!

ピロー温泉には足りないものを補ってくれる作用もあるんだね!



メール

僕みたいな人間のクズでもよろしいのでしょうか?

圧倒的に俺が遠いからお前がこい。

急展開過ぎて上海の路地裏を一人で歩いてる感覚に陥りました。

わざわざ僕みたいな蛆虫に本当にありがとうございます。

筋肉疲れますよ!

でもいつも暇なんでそんなに筋肉使わないですよ!

指が動けば大丈夫だろ!

うん!石がいい。

石だったらずっと残るじゃんか。

お疲れサモハン・キンポ。

お金のことだったら気にしないでいー承燁。

一回ストーカーになってみて。

知識

「みんなぁー!!知識を追いかけろー!!」

一同「おぉー!!」

「逃がすなぁー!追えー!」

一同「おぉー!」

「みんなぁー!!金を収穫しろー!!」

一同「おぉー!!」

「はやくしろー!一円たりとも無駄にするなー!」

一同「おぉー!!」

「みんなぁー!!愛と自由を生け捕りにしろー!!」

一同「おぉー!!」

「新鮮なほどいいぞー!なるべく惑わされるなー!」



お前らまだ追っているのか。

俺はもう追いかけるのやめたぜ。

逃げ足、はえーんだもん。

モミアゲパステル

体育座りで寝ているワタシ。

5人の男子大学生がワタシを取り囲み、特別でない視線でワタシを見ている。

ワタシは顔を上げ、落ちていたマジックを拾う。

1人目の男子大学生の膝にそのマジックで落書きをした。

「モミアゲパステル」

って。

一点をただただ見つめるゴスペル隊。

迷わず、見向きもせず、示された道を歩いている。

歌いながら両手を組んで、見知らぬジジイに感謝する。

許してくれー許してくれーと繰り返すが、本人は、なんのこっちゃわかりません。

そのうち1人が背を向ける。

そしたらみんなで槍を刺す。

そのくりかえし。

クーラーボックス

そのクーラーボックスには初恋の空気と、思い出の場所の土や石が入っているんです。

開けないで下さいね。

あっ、ちょっと!

今、開けようとしませんでしたか?

開けようとした?

え?なんでですか?開けないでって今、言ったばかりじゃないですか。大事な思い出なんですよ。そりゃあなたにとったら、ただのクーラーボックスかもしれないですけどねぇ、私にとって、そのクーラーボックスは冷やすだけのただの箱じゃないんですよ。むしろ中は熱いんですよ。クーラーボックスじゃないんですよ!

あ!痛いっ!

ビンタしました?なんでですか?なんであなたにビンタされなくちゃいけないんですか?他人を傷つけて楽しいんですか?はっきり言って悪趣味ですよ。いきなりビンタされたことあります?

2011年8月9日火曜日

健康法

寝かされて両足と両腕に手錠型の機械をはめられる。

その機械に両足と両腕を上下に引っ張られる。

両足と両腕についた機械が回転する。

足と腕を逆方向に。

雑巾を絞る要領で絞られる。

真っ赤な血がいっぱい搾り出される。

下には大きな金魚鉢。

金魚鉢に血液がたまっていく。

金魚鉢は血でたぷんたぷん。

そして先生がその血を洗浄する機械に流し込む。

他の血液も一緒に混ぜて洗う。

不思議なことにドロドロだった血はサラサラ。

その血をまた体に戻す。

健康になる。

血を血で洗う健康法。

生まれた時には

僕のパンツの中には武器がある。

大量破壊兵器。

大っきくなったり、小っちゃくなったり。

ドックンドックン、休みなんかいらないのさ。

思ってるより温かいんだぜ。

空洞が欲しいし、筒が欲しい。

それは美しい塊。

お前には付いているかい?

2011年8月6日土曜日

黄色い

ズボンの腰の辺りに黄色いシミをつけたおばさんがいた。

商店街をビニール袋片手に歩いている。

あのシミは一体なんなのか。

しばらくすると、黄色いシミをつけたおばさんは婦人服の売っているお店で立ち止まった。

そして、花柄のカーディガンを手に取り、鏡の前でサイズを確認している。

上半身のオシャレは後回しだ!
私はズボン見ろ!ズボン買え!と心の中で強く連呼する。

そんな私の魂の叫びを黄色いシミのついたおばさんは無視。

はっ!まさか黄色いシミはデザイン!?そんな馬鹿なと思い、私は、おばさんの腰を凝視する。

腕組みをして、少し離れた距離から、おばさんの腰を凝視する。

そして、ふと思う。

休日の昼間っから私は何をしているのだろうと。

2011年8月5日金曜日

翼が生えた母親

翼が生えた母親は街へ飛んでいく。

「晩御飯は冷蔵庫にあるわよ~」

と言いながらバサバサっ。

また二階から飛んでった。

せめて玄関から羽ばたけばいいのに。

ベランダはいつも羽だらけ。

毎度毎度、僕と父親が掃除する。

母親は翼が生えてから家事全般をしなくなった。

空を飛べるってことが嬉しくて仕方ないらしい。

家族にとってはいい迷惑だ。

母親に羽が生える⇒母親は羽を伸ばす。

卵、産んでいたよ

家の倉庫、久しぶりに開けたらおじさん住んでいたよ。

住んでいたよ。

うん、で、いたよ。

卵、産んでいたよ。

そんでギターも弾いていたよ。

しかもエレキギターだったよ。

家の電気、盗まれてたーよ。

請求できるかなー?

家賃払えるかなー?

卵払いでも母親は構わないってさ。