2011年10月26日水曜日

ルームシェア

母さんへ。

お元気ですか。

僕は元気です。

今年の四月からルームシェアを始めました。

都内近郊の一軒家に僕を含め四人で住んでいます。

ルームメイトには四足歩行の婆さんや天才子役の佐藤フランチェスコ君や宇宙からきた人?がいます。

毎日とても楽しいでーす\(^o^)/

2011年10月24日月曜日

平爺

そもそも平爺にメモリーという概念は無い。

餌か餌じゃないかしか無い。

昆虫と一緒である。

自分が今何をしているかも分からないし、何をしてきたかも、何者かも、思い出も、記憶も、感情すらも何も無い。

あるのは餌か餌じゃないか。

喰えるか、喰えないか。

平爺は乳母車に乗せられている。

いや、乗せられているのかすら分かってはいない。

もしかしたら自ら乗り込んだのかもしれない。

後ろから押してくれてるあなたは誰ですか。

私は彼と関わりの可能性がある人達に話を聞いて廻った。

しかし誰も彼の事を知らなかった。

誰も彼を知らない。彼も誰も知らない。

果たしてそれは生きているといえるのだろうか。

それはもう死んでいるのと同じではないだろうか。

人間として。

じゃあ花は?蜜蜂は?カメレオンは?ナマケモノは?

平爺は呼吸をしてる。

心臓が絶えず動いてる。

目を覚まし、陽の光を浴びて、喰って、眠って、また喰って。

それだけだけど。

平爺はそれだけだけど!

迷子原人

げんちゃんは今日もゴミ箱を漁って探しているのだろう。

裸のあなたは人々を精察し、服を着た人々はあなたを警察に。

重要保護動物として認定されたげんちゃんは酒瓶を左手に持って攻撃体勢、右手は疑問符を持って守りを固め、オナラで威嚇する。

でも…

もう怖がらないで…

世界は胸毛を一周したのだから…

あなたは現代の迷子原人なだけだから…

君は珍獣

僕の大好きな君はさっきから、そうしてる。

僕が何も言わないのは君が怒るから。

だって、

「ねぇ、いい加減パンスト、モッコリさせるのやめたら?」

と僕が聞いたら君は。

「オメエにナニがわかるんだコラ。クタバレ腐れニート。」

なんてことを言うだろ?

だから僕は何も言わないんだ。

パンストをモッコリさせている君はお皿を洗って鼻歌交じり。

後ろ姿は、まるで珍獣。

しばらく眺めていると君はお皿を洗いながら宙に浮きだした。

骨盤が円盤みたいになっているからかなぁ。

UFOみたいに、どこかに飛んでかないでよね。

君がパンストをモッコリさせても僕は何も言わないからさ。

2011年10月16日日曜日

メイル

死んだ爺さんからメイルが着たって婆さんが。

嫁に読めって開封したので嫁は間違いのメールではないのですか?と訊ねーる。

そしたら婆さんそのメイルで嫁の目、射る。

嫁滅入る。

メイル嫁居る。

メイルで嫁射る。

「めっちゃワロタwww」とメイルには。

婆さんは爺さんから天国語でメイルが着たって驚くばかり。

嫁憚り。馬鹿ばっかり。

2011年10月15日土曜日

私は今一人ぼっちなのだ

娘の机の引出しを勝手に開けた私が悪かった。

娘は私を殺そうとしている。

引出しの中には、先端がグニュグニュとしている尖った物が入っていた。

娘は、この先端がグニュグニュした尖ったもので私を殺すのだろう。

中学3年生の娘に私は「くそ」と呼ばれている。

もう私は人間ですらない。

喜怒哀楽の感情は全て捨てた。

怒ることもなければ、悲しむこともない。

笑うこともなければ、喜ぶこともない。

父親として、娘と最後に会話したのはいつのことだっただろう。

こんなことなら、もっと写真やビデオを撮っておくべきであった。

今更もう遅い。

娘の母親、つまり私の妻は、もうこの家にはいない。

爽やかな背広を着た男と不倫をしたあげく、家を出て行ってしまった。

そう、私は今一人ぼっちなのだ。

私はラップを上手く巻けてない

まだまだ私はラップを上手く巻けてない。

RAPだって上手くない。

言葉という種を蒔けてない。

けれど、あなたたちになんか負けてない。

マフラーは巻かないけど、カルフォルニアは寿司屋で巻いてる事実に参ってる。

入ってる。

はいっTEL。

はぁ居てる。

2011年10月11日火曜日

ばっつーん!

勝手にやってろって僕は肘をつきながら、ついでで君に言ってる訳だけど君はヒステリーを起こしてキーッてなってて聞く耳を持たないから、こりゃ無駄だと背を向ける僕の耳元で「今夜は…」なーんて甘い誘いに乗ってしまう僕は意思が弱いせいか、コトが終わってメンソール煙草吸って、んじゃもう1回なんつってて、でもそんな雰囲気も長くは続かないから僕らはそこんとこどうなんですか?とボタンをポーンと押してくれる誰かを欲してるし、それは愛情なのかって問われれば困る僕とぼくとボクと君なんだから多くは望まないし、ちょこっとの何かがあれば生きていけるから、そこだけは許してよ、これっきりだから誓うから嘘じゃないからってな感じで、おててとイヤホン繋いで夕方の河川敷をつまんないラブソングでも聴きながらブラブラ歩いていければ、それはそれでいいんじゃないかなぁなんて君と僕は思っとる訳なんですよ。

セル美

やっぱりセル美が僕を愛してくれているのは嬉しいのだけれども、嬉し過ぎるのだけれども、物語や映画や何やらには終わりがくるものであって、それをどうも、う〜むと考えてイジける僕をセル美はエイッとツンツンしてくれて、幸福論をハンガーに掛ける背広みたいな理とか主義とか胡散臭い僕をセル美は好きでいてくれて、このままイこうと誓いのKissしちゃうんだけど未だ未だ未熟者なので臨機応変自由自在縦横無尽に君の心に突き刺さればいいかなぁなんて言ってるけど、やっぱり僕はセル美を愛しているのです。

2011年10月10日月曜日

息子達フューチャリング、オバサン

真夜中なのに外が騒がしい。

4、5人の若者がラップをしている。

セイ、ホ~とか言ってる。

余りにもうるさいので、武器(オマリーが日本で最後に使ったバット)を持って4、5人のラッパーを退治すべく、意を決して僕は部屋を飛び出した。

バーン!!

ん?

あれ?

おかしい…。

オバサンしかいない。

オバサン:「どうされました?」

僕:「え…、いや…。外が騒がしかったので注意しようと思って…」

オバサン:「ハラ~、すいませ~ん!うるさかったかしら~。」

僕:「いえいえ、あれ?4人か5人ぐらいの若者がいませんでしたか?」

オバサン:「ハラ~、ごめんなさい~。」

僕:「え?どういうことですか?」

オバサン:「ラップしていたのワタシなんですぅ。」

僕:「えっ!?だって4、5人ぐらいの声が聞こえましたよ!」

オバサン:「ハラ~、息子達の言霊だわぁ…。」

僕:「言霊?」

オバサン:「はい~…。ワタシねぇ、息子達が可愛くて食べちゃったんですぅ…。」

僕:「コワっ!!」

オバサン:「怖がることないですよ~。そうねぇ食前の息子達はラップが大好きでねぇ…。ほら、ワタシ食べちゃったでしょ?息子達ラップできなくなっちゃったのよ~。だからこうして夜中に発散させてあげてるのよぉ~…」

僕:「めっちゃ怖いこと言ってるーーーーーー!!!!!!!」

僕はオバサンが怖くなってその場から逃げ出した。

その日以降、真夜中のラップは聞こえてこない…。

2011年10月9日日曜日

王様のパッサパサ

王様のパッサパサを潤すのが私の仕事だ。

我が国王は就寝中に8ℓもの汗をお掻きになる。

寝起きはパッサパサ。

身体の水分は、ほぼ無い状態。

そこで私の出番だ。

最初は王様にポカリスエットをがぶ飲みさせなければならない。まずは王様の生命維持が先決なのである。

そしてパッサパサの頭皮(まさに不毛地帯)にジョウロで水を与える。

渇いた大地に水がドンドン染み込んでいく。プクプク嬉しそうだ。

お次は皮膚。

カサついてヒビ割れた皮膚に霧吹きで湿らせ、丹念に優しくコットンでポンポンする。

徐々に王様がプルプルになっていったら一安心。王様は一命をとりとめるのである。

毎朝が瀬戸際、毎朝が命懸け。

え?バケツでザッパーンすればいいじゃないかって?

それができたら楽なのだけれど、急な水分量の上昇は命取り、王様が溺れてしまうだろ?

わかったかい?

これが私の仕事だ。

2011年10月8日土曜日

約束のツノ

約束のツノが今日届く。

待ちに待ったツノ。

オークションで落札した時は興奮して中々寝付けなかった。

ピンポーン。チャイムがなる。

玄関を開けるとツノを持った宅配の人が立っていた。

サインをしてツノを受け取る。

立派なツノだ。

例えるならば男根の様な神々しい形をしていらっしゃる。ビューティフォー。

僕はそのツノを側頭部に装着してみた。

カッコよすぎる。

鏡の前で着けたり外したり。

嬉しさのあまりツノを装着したまま晩御飯、そのままお風呂にも。

寝る前にはツノを入念に磨きあげる。

明日もツノを着けて暮らしていこう。

ツノのある生活、プライスレス。

ノーライフノーツノ。

つのだじろう。

2011年10月5日水曜日

全身のピクピク

全身がピクピクしている。

四六時中ピクピクしている。

きっと祖先が僕の身体を高速で触っているからだろう。

でも何で?

僕は電気を消して床に就く。

瞳を閉じても全身のピクピクは収まらない。

僕の耳元で祖先が呟いた。

(どう?触られんのとか、あんま好きくない?ピクピクする?どう?)

僕は祖先を無視して眠った。

ピクピク、ピクピクピク、ピクピクピクピク。

あきらかに祖先が増えている。ピクピク量が増加しているので分かった。

「なんすか?」

僕は祖先達に聞いた。

(いや、コンビニ行かない?多分ジャンプ出てるし、お腹空いたから何か買って食おうよ。)

「う〜ん。まぁいいすよ。行きますか。」

僕は祖先達と近くのコンビニに行った。

祖先達は各自欲しいものを散策している。

その時だった。

1人の祖先がさっとポケットに何かをしまい込む所を僕は見てしまった。

完全に万引きしている。

祖先が万引きしている。

「ちょっと!アンタ今、ポケットに何入れたんすか!」

(はい?何もしてなかったですけど?え?ちょ、ごめん、何?)

あきらかに動揺している祖先。

僕は祖先のポケットに手を突っ込んでブツを取り上げた。

ゴマせんべいだった。

「いい歳こいて何やってんすか?ゴマせんべいぐらい僕が買ってあげますよ!」

(だって、なんか申し訳ないじゃん。年下におごられんの、なんかちょっと。ゴマせんべい食べたかったし…。)

「全然気にしなくていいですよ。アンタら実体が無いんだから!アンタ一体いくつだよ!まったく。」

(2034歳…)

僕は祖先達の為にジャンプやらゴマせんべいやら何やらを買ってあげた。

全身のピクピクは収まっていた。