2011年12月3日土曜日

似顔絵画家だった男の話

似顔絵画家だった男の話?

いやぁ、んーとねぇ。

あの男は顔の描き過ぎでねぇ。

右腕が痛い、痛いと言って随分、嘆いてやがったよ。

ある時、男の友人が酒場でね。

「そんなに痛けりゃ切り落としちまいよっ!」

なんて冗談口をたてぇたおかげでさ、男は本気で切り落とそうと決意するんだねぇ。

宅に戻った男はナニか叩っ切る物はねぇかと探してね、近くにあった鼻毛カッターでザクっと両断、切り落とした右腕は勿体ねぇ、後から引っ付けようと言って冷蔵庫にしまい込んだそうなんで。

これが男の運の尽き、晩飯を作っていた男のかみさんが野菜炒めじゃ華がねぇからってんで、その右腕を細かく刻んで放り込んで肉野菜炒めにしちまいやがった。

なあんにも知らねえ男はのん気なことにその肉野菜を食っちまって

「こりゃ、うめえ!おっかあ!今日の肉は上等じゃねえか!」

なんてことを抜かしていたっっていうことなんよ。

んで後日、ボンドで引っ付けようと思ってた男がさ、冷蔵庫を開けたら右腕がねぇことに気付いてね。

家中探しても見当たらねえ、かみさんに聞いても知らねえってんで仕方がねえから、残った左腕をまた鼻毛カッターで切り落としてねぇ、紛失した右腕の代わりに丁度いいとか何とか言って引っ付けてたみてぇだよ。

馬鹿だねえ。


え?両腕見せてみろって?

あっしは両方の足がくっついてるよ。

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