男は「月刊 角刈り」を手にとった。
今月号は男が尊敬してやまないKAKUMALUさんの先頭カラー。
ページをパラパラとめくる。
「今月のカク言」
'角刈りざる者、角べからず"
男の目にはうっすらと泪が滲んでいた。
そして持っていた「角刈り」を棚に戻し、買わずに帰宅した。
帰宅した男は母親に詰め寄る。
「ママ!なんでワタシを男に産んでくれなかったのよ!ママの事を恨むわ!ワタシは角刈りの似合う男になりたいの!角刈りの似合う女になんかなりたくないの!」
男の母親は頭に巻いていたバンダナをハラリと取った。
「マ、マ……?」
男の母親は角刈りだった。
「あなたを男の子に産んであげられなかったのはね、出産の神様が私の子宮をコチョコチョしたせいよ。あなたが男の子に産まれたがっているのは、あなたが母胎内にいる時から知っていたわ。母親ですもん!全部お見通しよ!だからあなたに男っていう名前を付けたの。角刈りが似合うようにってパパと2人で決めたんだから。」
「そうだぞ、男!」
父親が障子の隙間から顔を覗かせる。
「そうだよ!男お姉ちゃん!」
弟がテーブルの下から出てきた。
父も母も弟も男もみんな角刈りだった。
角刈り達はそれぞれを抱きしめ、刈り上げ部分を愛撫する。
角刈り家族。
角家族。
0 件のコメント:
コメントを投稿