2011年12月29日木曜日

カモなのかも

私は今、カモに乗り冒険に出ている。

問題はカモが小さ過ぎて膝から下が水に浸かっていることとカモへの重量オーバーぐらいだ。

そしてもうそろそろ沈んでしまうと予想される夕刻時。

ほら、沈んでいるでしょう?

カモは風呂に浮かべたビニール人形みたいにスポンと何処かへ知らぬ顔スイスイ。

私は沈む、沈む、沈む。

背中が川底にソフトタッチ、この時点で私の死はジャグラーのGOGOランプ。

さてどうしよう、というよりも先ほど心臓が停止しました。

友人たちに息巻いて「普通にイカダで冒険とかありがちじゃ〜ん。どうせならカモ乗った方がウケるっしょ〜」と言ったのが運の尽きだったようです。

あれ?ちょっと待てよ。なんか眩しい。あれあれ〜?分娩台?分娩室?看護婦さん?産婦人科?お父さん?お母さん?へその緒?

オギャーオギャーオギャー(苦しい、苦しい、苦しい)

2011年12月27日火曜日

住職の経

寺の住職に相談する目の不自由な女性と家族。

うんにゃむんにゃぁと経を唱える住職。

「はい、それでは窓の外を覗いてごらんなさい。」

「わかりました。」

タタタッ

「見えません。」

「そうですか、それでは、もう一度。」

「うんにゃむんにゃぁ。はい、どうぞ窓の外に。」

「はい。」

タタタッ

「すいません、見えません。」

「それではもう一度。」

「うんにゃむんにゃぁ。どうぞ窓へ。」

「はい。」

タタタッ

「すいません、見えません。」

「え?嘘でしょ?マジ?なんで?見えるっしょ?見えるって言うとこでしょ。なに正直言っちゃってんの?マジ無理。やりたくないわ〜。やりづらいわ〜。絡みづらいわぁ。空気読んでさ、見えてきましたとか言やぁいいじゃん。なんなの?本当もう無理だわ。帰って…ていうか帰って!はやく帰れぇええ!!」

カエルと片思い

可憐な姫は隣の小池。

道路一本挟んだ池さ。

君の周りにゃ王様ガエル。

気弱な僕は一人で帰る。

ワザとらしい理屈を説いて、君はパクッと食べられちゃうかぁ。

あぁ気が付いておくれ、奴らは誰でもいいのです。

あぁ僕に愛をくれ、僕は君だけが
いいのです。

オタマジャクシとは僕のこと。

見掛け倒しとは僕のこと。

僕は一人だけ蚊帳の外。

今は蝿にゃ興味は無いよ。

手足が生えたら会いに行こう。

ピョンピョン跳ねて会いに行こう。

邪魔な道路は、ひとっ飛び。

車の往来ザッツオーライ。

老人達の嘘

この街の老人達は嘘をつく。

月給二万の時代に二百万円稼いでいたとか、東京で百本の指に入っていたとか、三億円事件の犯人を知っているとか。

なので、そんな老人達をプレス機にかけてペッタリ平たくしたあと、鉄板の上でジュージュー、カリッと焦げ目がつくぐらい焼いて新入社員に配り

「これ美味いっすね!なんですかコレ?」

「うん、それは老人焼きだ。」

「老人焼き?へぇ〜、初めて食べましたよ。最初は何だかジジくさいなぁなんて思ってたんすけど、クセになりますね。珍味、珍味!」

てな具合に配りたいという嘘をついてみました。

そしたら母親が嘘つきは地球の始まりなどという哲学チックなことをプレス機で押し付けてきたので、それを振り払おうとしたら、そのまま潰されて個性というものが無くなってただのプリンになりました。

宇宙船

復讐してやるぜと男は誰にでも出来ることを1つのナイフで突き刺して笑い飛ばして飛ばされた。

粋なことは後付けで、しようと思ってもやれるもんでもない。

いろんな人間がいちゃう訳で、その中には優しくしてくれる人が3人ぐらいは身近にいてくれるかもしれなくて、その人達にこそ自分を捻じりこませるようなことが出来るならば、それを幸せと呼ばずに何と呼べばいいのだろう。

何も出来ないから何か出来るんじゃないのかなぁということと自分の都合のいいように出来るんじゃないのかなぁという夢幻。

てな具合に胸をポンと叩いて宇宙船にでも乗りましょう。

どっかの惑星に味方がいるかもしれないぞ!と夢想気味に夜道を歩き、地面を踏んづけ、千鳥足。

2011年12月19日月曜日

海苔

お金を下ろしに銀行に行きました。

キャッシュカードをお口にアーンしてあげて暗証番号をテロテロ打ち込みます。

いざ金額入力。

「3万円」

そして上唇のシャッターが開店時刻を告げると、奥歯から海苔が三枚出てきました。

三枚の海苔を手に取り、ひとまず味見。

「味が付いてる。これは味付け海苔だ!」

少しお茶目な銀行口座に薄ら笑いを浮かべていると、その上唇にゴクリと飲み込まれてしまいました。

金が無けりゃあ体で払えとの無言のメッセージ。

不謹慎だ!との声も振り切り、行ってきますと声を上げ、やらなきゃソンソン、やるもソン。

なんにもできないだろうけど、見てくるだけでもいいじゃない。

そんなのわかるはずもないじゃない。

2011年12月18日日曜日

ボタン一つ

ライターのボタンが硬くなってジイさん達は煙草に火を着けられなくなったと嘆いていた。

柔らかいボタンにして欲しいでよ~とあるジイさんは言っていた。

だがデメリットばかりではない。メリットもあるんだでよ~。

それはね、「ボタンが硬い~。」って孫に泣き叫んで縋りついてみなさい。

そしたら孫は

「しょうがねえジジイだぜ、まったく。」ってな具合で煙草に火を着けてくれるのさ。

そしたらジイさんは、すかさず質問すりゃいい。

「おめえさ、チカラがあんだベなぁ。なんかやってんのかい?」

「あぁ、まあ部活やってっからな。」

「何部だぁ?」

と以下の通り、会話が弾むこと間違いなし。

思春期の孫とのコミュニケーション不足は硬いライターで解消さ。

ボタン一つで生まれる つながり もある。

ボタン一つで なくなっちゃう 命もある。

そんな世界で存在中なんだな。

2011年12月8日木曜日

月刊 角刈り

男は「月刊 角刈り」を手にとった。

今月号は男が尊敬してやまないKAKUMALUさんの先頭カラー。

ページをパラパラとめくる。

「今月のカク言」

'角刈りざる者、角べからず"

男の目にはうっすらと泪が滲んでいた。

そして持っていた「角刈り」を棚に戻し、買わずに帰宅した。

帰宅した男は母親に詰め寄る。

「ママ!なんでワタシを男に産んでくれなかったのよ!ママの事を恨むわ!ワタシは角刈りの似合う男になりたいの!角刈りの似合う女になんかなりたくないの!」

男の母親は頭に巻いていたバンダナをハラリと取った。

「マ、マ……?」

男の母親は角刈りだった。

「あなたを男の子に産んであげられなかったのはね、出産の神様が私の子宮をコチョコチョしたせいよ。あなたが男の子に産まれたがっているのは、あなたが母胎内にいる時から知っていたわ。母親ですもん!全部お見通しよ!だからあなたに男っていう名前を付けたの。角刈りが似合うようにってパパと2人で決めたんだから。」

「そうだぞ、男!」

父親が障子の隙間から顔を覗かせる。

「そうだよ!男お姉ちゃん!」

弟がテーブルの下から出てきた。

父も母も弟も男もみんな角刈りだった。

角刈り達はそれぞれを抱きしめ、刈り上げ部分を愛撫する。

角刈り家族。

角家族。

2011年12月7日水曜日

ローションおばさんは鼻くそ 祝200回記念スペシャル

200回記念ということで100回記念同様、僕が僕にインタビューしようと思います。

僕:「おめでとうございます。」

僕:「ありがトマトジュース!」

僕:「昨年から『ありがトマトジュース』を要所、要所で使用しているのに一向に流行りませんね。」

僕:「まぁ流行るとも思っていないですし、基本的には使う場所が無いので…。」

僕:「さっそくですが、200回を迎えた率直な気持ちなどはいかがですか?」

僕:「正直言ってここまでこれるとは思ってもいませんでしたね。実際11月とか途中で飽きていましたし。」

僕:「ではなぜ、この12月に盛り返すことができたのですか?その要因などは。」

僕:「そうですねぇ、誰もこのブログを見ていないですからねぇ。気持ちを切らせないでっていうのは本当に難しくて。やっぱり日頃のストレスが溜まってるのではないでしょうか。その捌け口として書いているというような…」

僕:「そうですか。それでは今後の抱負などは?」

僕:「ん~。特にありませんべえ!」

僕:「はい!ありがトマトジュース!」

僕:「ありがトマトジュース!」

2011年12月6日火曜日

ゾウかゾウじゃないか

ゾウかゾウじゃないかで口論になった。

この世界がもしもゾウかゾウじゃないかだったら君はゾウかゾウじゃないかどっち?

ゾウじゃない。

なんで?

ゾウじゃないから。

いやいや、世界がもうゾウかゾウじゃないかなんだよっ!?二択だよっ!?そしたらどっち!?

ゾウじゃない。

え?なんで?

ゾウじゃないから。

だぁかぁら〜、君がゾウじゃないのは分かってるよ!もしもの話!仮の話!仮定っ!!

あなたの聞きたい事の意味が分かりません。私はゾウではありません。もう一度言います。私はゾウではありません。

違うよ。そういうことじゃないよ。もしも世界がゾウかゾウじゃないかって話なんだよ。そしたら、どっちかって言ったらゾウでしょ。同じ生き物だし。哺乳類だし。やっぱりゾウでしょ。ゾウでしょ?ゾウなんでしょ?

ごめんなさい。あなたがいくら熱弁しても私の気持ちは変わりません。私はゾウではないです。ゾウじゃないからです。そうです、ゾウではないからです。

だぁがぁぶぁー!!

この後も二人は永延とゾウかゾウじゃないかで言い争った。

2011年12月5日月曜日

脳味噌の溝

俺の頭の中でブルースが掻き鳴らされる。

それも当然、おじさんが俺の脳味噌の溝に腰掛けてギターを弾いているのだから。

田舎町で流れている様な、どこか懐かしいメロディーをおじさんが溝に手で滴らせる。

したたり顔のおじさん、滴るメロディーを舌鼓。

時代を越えた熱い握手&抱擁。

抱き合った時におじさんのギターが前に垂れ下がっていたので邪魔だと伝えると

「ギターはいつでも邪魔なもんだ。」

なんて粋なんだ。

再びおじさんは俺の脳味噌の溝に腰掛ける。

もう少しだけ、ここにいようと思う。

2011年12月4日日曜日

おじいさんギャル

おじいさんギャルがスマートフォンをシューっとイジっていて意識が、ぶっとんでたから後方からきた三輪車に気付かず激突死。

悲しみに包まれたギャル達は、おじいさんギャルの遺骨をギャル河に流した。

河を流れる遺骨。

それを拾い上げる村はずれの、ある家族。

「今日は、いい骨が入ったわよ!」

と母親が息巻いている。

家族は箸をエイトビートで叩いて大喜び。

母親は、おじいさんギャルの遺骨を唐揚げにした。

遺骨の唐揚げを家族でコリコリごくりんちょ。

2011年12月3日土曜日

似顔絵画家だった男の話

似顔絵画家だった男の話?

いやぁ、んーとねぇ。

あの男は顔の描き過ぎでねぇ。

右腕が痛い、痛いと言って随分、嘆いてやがったよ。

ある時、男の友人が酒場でね。

「そんなに痛けりゃ切り落としちまいよっ!」

なんて冗談口をたてぇたおかげでさ、男は本気で切り落とそうと決意するんだねぇ。

宅に戻った男はナニか叩っ切る物はねぇかと探してね、近くにあった鼻毛カッターでザクっと両断、切り落とした右腕は勿体ねぇ、後から引っ付けようと言って冷蔵庫にしまい込んだそうなんで。

これが男の運の尽き、晩飯を作っていた男のかみさんが野菜炒めじゃ華がねぇからってんで、その右腕を細かく刻んで放り込んで肉野菜炒めにしちまいやがった。

なあんにも知らねえ男はのん気なことにその肉野菜を食っちまって

「こりゃ、うめえ!おっかあ!今日の肉は上等じゃねえか!」

なんてことを抜かしていたっっていうことなんよ。

んで後日、ボンドで引っ付けようと思ってた男がさ、冷蔵庫を開けたら右腕がねぇことに気付いてね。

家中探しても見当たらねえ、かみさんに聞いても知らねえってんで仕方がねえから、残った左腕をまた鼻毛カッターで切り落としてねぇ、紛失した右腕の代わりに丁度いいとか何とか言って引っ付けてたみてぇだよ。

馬鹿だねえ。


え?両腕見せてみろって?

あっしは両方の足がくっついてるよ。

ほわほわ

これよ、昨日お宅の店で買ったんだけどよ、なんでこの部分がほわほわなんだよ?

あ?なんでほわほわなのか聞いてんだよ!

ほわほわにしちゃダメだろ?

な?ミキ?お前もそう思うだろ?

客なめてんだろ?

ん?なんだよミキ?よくねぇよ!

俺ぁこの店の為に言ってんだよ!

なぁ上のもん呼んで来いや!おう!

なんでここがほわほわなんだよ!

だからそれはわかったっつーの!

俺ぁ金が欲しいわけじゃねぇから!

ただ純粋にここのほわほわを直して欲しいだけだから!

幸せな不安

電話を待ち続ける僕にメロウなミュージックが穏やかに纏いつき、夜は少し冷えてきたと暖房は足先を暖めている。

まだ電話が掛かってこないやと何回か反復し、相も変わらず今度もダメなのかなぁと胃の上の一帯にざわめきと悲観を蓄積させてくれる沈黙に、まだ繋がっているよと弱気な僕に肩を貸してくれるメロディがこれまた情け深い。

そして文字が静穏を与え、同時に忘れるという範疇にチェックマークを入れるとなると枕に右頬を当てながら眠れない僕にも今までのシュミレートがまるで何でもなかったかの様に翼を広げて飛び去っていってしまい、虚しさと再度、瞳を閉じさせる強大な力が沸き起こる。

それでも明日があるじゃないかと望みを捨てきれずにいて、こっから全てをやり直すんだとまたまた強い決意をすることが出来るのはあなたを想う気持ちとあなたのお陰と僕は考えて、もう一度だけと、その幸せな不安をまた繰り返してしまうのです。

僕と君の貯金箱

僕は小銭貯金をしている。

(本当はしていない)

君と一緒に買った豚の貯金箱。

(1人で購入)

なんでもいいよなんて言いながら、少し溜まったら何か買おうよと言いながら。

(独り言)

僕の家にその貯金箱は置いてあって、君は来る度に小銭を入れてくれた。

(家になんて誰も来ない)

もう君が来ることはなくなったけど、僕は今でも貯金を続けているよ。

(嘘)

ウイルス性胃腸炎

ウイルス性胃腸炎のせいか何かは分からないがオナラが止まらない。

常にオナラを噴射し続けて、とうとう部屋一杯にガスが溜まってしまった。

ちょいと電話。

1時間たった後、2人組のオナラ回収業者が家にやってきた。

「こらスンゴイですねぇ、オナラの取り甲斐があるってもんだ。」

作業員の1人が透明なビニール袋をパターンとひろげるとファサっ、ファサっとオナラを包み込んでいく。

ビニール袋がオナラでいっぱいになるともう一人の作業員にパス。

「ヘイ!」

受け取った作業員は荷台にオナラを積み上げる。

「回収したオナラはどうするんですか?」

聞いてみた。

「ああこれ?回収したオナラはまた家庭で使用するガスになるんですよ。科学っちゅーもんはスンゴイですなぁ。」

オナラのリサイクルっちゅーもんですなぁ。

2011年12月2日金曜日

浣腸したから大腸出ちゃった

浣腸したから大腸出ちゃった。

(浣腸したから大腸出ちゃった。)

浣腸したから小腸出ちゃった。

(浣腸したから小腸出ちゃった。)

ブリュッて出たから、もう戻らない。

(戻る気もネェ、止まらねぇ!)

俺の肛門パカッて花開く!

そこから潜血飛び散りー、エビチリー、てっちりー。ケツ血入りー!

チリソースみたいな俺のお尻を誰かレスキューしてくれYO!

俺の尻から薔薇の花。

綺麗だなぁとドクターが言った。

花をドクターは摘み取る。

花瓶に差し込み2人で眺め、塗り薬を肛門に塗る。

ヌルヌルしている俺の尻。

そしたらドクターが浣腸してきた。

浣腸したから大腸出ちゃった。