2011年5月6日金曜日

続・縦横30cmの箱

僕は縦横30cmの箱に片足を乗っけて、赤いちゃんちゃんこを着たおばちゃんに叫ぶ。


アンタなー!

アンタはなー!!

人のこと自由が無いって思っていませんか!!?

全部わかってますよ!

ふんぞり返らないで下さい!

ふんぞり返らないで下さいよ!

どーせアンタみたいな人はテレビに向かって文句とか言って満足してるんじゃありませんか!?

あーコイツ痛いなぁとか思いました!?

それがどーしました!?

それがどーしましたぁっ!!?

何言われたって僕には関係ありませんよ!

疲れた、疲れたって言って人生終わりまで突き進んで下さい!

僕とアンタを一緒にしないで下さい!

気取らないで下さい!

カッコつけないで下さい!

見下さないで下さい!!

余裕ですか!?

死んで欲しいですかっ!!?

僕は縦横無尽ですっ!

自由ですっ!!!



そして、赤いちゃんちゃんこを着たおばちゃんが

「今、お前さんが言っていたこと、そっくりそのままお前さんに返すよ。」

とおっしゃった。

僕は縦横30cmの箱から降りて、うずくまって泣いた。

その瞬間、縦横30cmの箱は黒くて大きな魔物になって、僕を飲み込んだんだ。

2011年5月5日木曜日

楽しいこと

真っ白い部屋にブリーフ一丁の男。

その男に向かって、スーパーで買ってきた生ハムを数人で投げつける。

ぺターンってなる。

そしてブリーフの男に張り付いた生ハムを数人で、むしゃむしゃ食べる。

生ハムじゃなくて、生肉を使ってもよし!

生肉を使用した場合は焼肉をすること(仲良く)!

改造人間

まず下半身の改造から取り掛かりました。

ガンダムに出てくるガンタンクみたいな下半身にしたかったのですが、

キャタピラだと生活するのに不便といいますか、

ちょっとした段差なら別にいいのですが、

階段を登れないということに気付きました。

それにトイレの問題もあります。

なので、下半身の改造は後回し!

そこで今度は、指を改造することにしました。

指を改造するといってもどうしようか悩みどころです。

まず親指は、ウイダーインゼリーが出るようにしました。

これで10秒チャージ2時間キープです。

人差し指は葉巻です。

葉巻の奥深い香ばしさを手に入れることが出来ます。

中指は三色ボールペン(シャープペンシル内蔵)です。

突然ボールペンが必要になったときも、これで大丈夫!

薬指はコーヒーです。

ホットもアイスも出るようにします。やっぱり香りと味わい、滑らかな口当たりのブルーマウンテンでしょう。

そして最後の小指は温風で決まりです。

これで突然の雨で濡れてしまったり、飲み物をこぼしてしまったときでも問題なし!温風で乾かすことが可能です。


今まで改造することをためらっていた自分が恥ずかしいです!

過去の自分にグッバイして未来の自分へカスタマイズ!!

バランスボールお腹

僕:「Aの方に質問です。お腹の中にいるのはなんですか?」

A:「赤ちゃんです。」

僕:「はい、わかりました。続いてBの方に質問です。お腹の中にいるのはなんですか?」

B:「はい。赤ちゃんです。」

僕:「はい、わかりました。続いてCの方に質問です。お腹に入ってるのはなんですか?」

C:「はい!バランスボールです!」

僕:「はい、わかりました。次の質問に移りたいと思います。」

僕:「妊婦にとって辛いことはありますか?それではAの方から。」

A:「腰や膝が痛いことです。」

僕:「わかりました。それではBの方。」

B:「お腹に赤ちゃんがいるということで行動範囲が限られてくるということです。」

僕:「なるほど。それではCの方。」

C:「辛いというよりも、妊婦ではないです。」

僕:「わかりました。それではCの方だけに質問です。なぜここにいるのですか?」

C:「圧力炊飯ジャーがもらえると聞いたので来ました。」

僕:「申し訳ございません。あなたは圧力炊飯ジャーを貰える資格がありません。」

C:「なんでですか?」

僕:「バランスボールですよね?」

C:「はい。バランスボールです。」

僕:「妊婦じゃないですよね。」

C:「いえ、妊婦です。」

僕:「じゃあお腹にあるのは?」

C:「バランスボールです。」

アマチュアトランポリン選手にインタビュー

アマチュアトランポリン選手の飛田さんにインタビューをしにスポーツセンターへ行きました。

体育館に行くと飛田さんはすでにトランポリンに乗り、練習を開始されていました。

僕は挨拶をしようとトランポリンに近づきました。

僕:「はじめまして! 本日インタビューさせて頂く者です!」

飛田さんはトランポリンで跳ねながら軽く会釈しました。

僕:「では、さっそくインタビューさせて頂きます!」

飛田さんはトランポリンに乗ったまま頷きました。

僕:「トランポリンはいつからはじめられたのですか?」

飛田さんはトランポリンで弾みながら答えてくれました。

飛田さん:「し---こう---、、、、、」

ばひゅーん、ばひゅーんとトランポリンの音が響き渡りました。

よく聞こえなかった僕はもう一度同じ質問をしました。

僕:「トランポリンはいつからはじめられたのですか!?」

飛田さん:「しっ---こう-----、、、、、」 ばひゅーん、ばひゅーん。

飛田さんはトランポリンに乗りながら答えてくださるので何をおっしゃっているかわかりません。

僕の質問に答えるタイミングが着地してからの一瞬でコンマ何秒かの世界なのです。

僕はトランポリンから降りてきてくれないかなぁと思ったのですが、練習の時間をわざわざ割いてインタビューするのは失礼と思い、そのまま続けることにしました。

僕:「長く現役を続けられる秘訣ってなんでしょうか!?」

飛田さん:「やっ---ぱ--っ」 ばひゅーん、ばひゅーん。

僕:「飛田さんにとってトランポリンってなんですか!?」

飛田さん:「いっ--」 ばひゅーん、ばひゅーん。

僕:「インタビューは終わりです!わざわざありがとうございました!」

飛田さん:「あっ---」 ばひゅーん、ばひゅーん。



僕は予定の時間より20分も早く切り上げて帰宅することにしました。

2011年5月2日月曜日

ボストンバッグにミートボール

私は、いつもの緑と赤のチェックの帽子を被る。

乗車している電車には、サラリーマンやOL、高校生が朝の出勤や通学の為に所狭しと乗っている。

おばさんと言われる歳になってしまい、自分の中の可能性を否定的にみてしまう。

黒いボストンバッグ。

バッグの中にはミートボールが入っている。

隙間がないぐらいにミートボールを詰め込んだボストンバッグ。

ミートボールの異臭に乗客達は困惑している。

近所の青年が原付バイクのヘルメットケースにミートボールをギチギチに詰め込んでいた姿をみて、子供の頃に忘れていた感覚を思い出した。

意味があることに価値があり、意味のないことは無価値だというような現代社会に辟易した私は、青年にならって、ボストンバッグにミートボールを詰め込んだ。

まずは墓参りにでも行こうと思う。

ミートボールは墓で寝る。

そんな言葉が私の脳内を駆け巡る。

今の私には希望しか見えない…。

フサフサの毛に、ごんぶとの腕

ズドラフ・ズドラフコフ氏に医学界の権威、ピーター・ジー先生を紹介して頂いた。

私はチョビヒゲ先生。整体師をしている。

なぜ今回、ピーター・ジー先生を紹介して頂いたかというと、整体師として、さらなる高みを目指すために熊の腕を移植するためである。

手術は何の問題もなく終わった。

新しい両腕に胸が踊る。

さっそく包帯を外し、自分の腕を確認してみた。

おぉー

思わず声が漏れてしまう。

フサフサの毛に、ごんぶとの腕、完璧だ。

爪は長いし、尖っているから切っておこう。

これで私は整体師として、誰も追いつけない位置までいける。

ふはははははは。

ふんわりボーイと体育座りしている奴

夜の浜辺で体育座りしている奴がいる。

ふんわりボーイは雲にのって体育座りをしている奴にイタズラをすることに。

なぜか体育座りしている奴はビニール袋を首に閉めている。

気でも触れたか?

体育座りしている奴にふんわりボーイの声は届かない。

おーい!おーい!

ふんわりボーイは何度も問いかけるが反応がない。

ふんわりボーイはマザーさんに教えてもらったヴィンタを体育座りしている奴の心にしてみた。

ヴィンタの効果で体育座りしている奴は少しずつ心を開く。

タコさんに招待されて海に来たんですけど、息が続かなくて潜れないんです。

体育座りしている奴は泣いている。

ふんわりボーイは体育座りしている奴が何言ってるかわからなかったので、もう一回ヴィンタではなく、ビンタした。しかも強めに。

インパクト

チョークみたいな字で細く背中にインパクトって書いてあるおじさんが自転車にのっていた。

なぜインパクトなのか。

ひとまずインパクトという単語を辞書で調べてみることにした。

インパクト (impact)
 物理的、あるいは心理的な衝撃。また、その影響や印象。「その事件が社会に与えた―は大きい」
 球技で、ボールがバット・ラケット・クラブなどに当たること。また、その瞬間。

おじさんに物理的衝撃はなさそうだし、球技などでもなさそう。考えられるのは心理的な衝撃。

一体おじさんに何があったのだろうか。

おじさんはマヨネーズの蓋みたいな形のニット帽をかぶっている。

なんだ!その帽子は!

まさに心理的衝撃!

そっか!おじさんはインパクトを与える方だったのか!

背中でインパクトを語る男。
僕も、そんな男になりたいと思いました。

ちなみに、おじさんはマイルドセブンのインパクトワンという煙草を吸っていました。

どこまでストイックな姿勢なんだ!

忍者とリョウコと背広と梅子

最近、リョウコの行動がおかしい。

ご飯も作らず、洗濯や掃除もしない。

帰りも遅くなった。

携帯電話に電話を掛けてもドライブモード。

私が忍者をやっていることを不満に思っているなら言ってくれればいいのに。

幸か不幸か私は忍者、尾行が得意だ。

意を決して私はリョウコを尾行することにした。

てくてく…。

(いた…。リョウコだ。)

私は息を潜め、電柱の陰からリョウコの後ろ姿を見つめている。

はたからみれば忍び装束に身を包んでる怪しい中年。

しかし私には、そんなことを気にする余裕がない。リョウコのおかしな行動を暴くという信念がある。

リョウコは駅前のロータリーで立ち止まった。

誰かと待ち合わせをしているように見える。

(むぅ…。怪しい…。)

そこに一人の少女がやってきた。

「え…?」

少女の姿を見て、私は思わず声を漏らしてしまった。忍び失格である。

(なんで、梅子が?)

梅子は私の娘であった。

そして梅子の後ろには背広姿の若い男性。親しげにリョウコや梅子と談笑している。

誰だアイツは。

背広姿の男性は、見るところによると人柄が良さそうな顔をしている。そして私と違い清潔感も漂っていて、なによりリョウコと梅子が楽しそうだ。

まさか、アイツとリョウコが。

私は心が鎖かたびらで締め付けられる感覚に陥った。実際にも鎖かたびらを着けている。

正直言って不安しかなかった。

私は、あの爽やか背広男の魔の手から愛する家族を守る為、闘うことを決意した。

この闘いは忍者として闘うのではなく、一人の漢として闘うのだ。

うりゃー!!

私の拳は爽やか背広男のテンプルを貫いた。

リョウコと梅子は何が起きているのか状況が掴めていない。

しかし、そんなことはお構いなしに私は爽やか背広男をマウントポジションで殴りつける。

爽やか背広男の顔面は、みるみる地面にめり込んでいった。

リョウコと梅子が叫んでいる。

脳からアドレナリンとエンドルフィンが分泌されていたため、彼女たちの声は私の耳には届かない。

ライク ア ボーリング ストーン

ボーリングに来ている男女の学生達の真ん中のレーンで一人、汗を流す孤高の中年プレイヤーがいた。

両サイドの学生達はハイタッチなどして大盛り上がり。

学生達の間にいる孤高の中年プレイヤーは一人でモクモクとボーリングの球を投げ続ける。

そこに山があるから登るというように、そこにボーリングのピンがあるから投げると言わんばかりに投げまくっている。

隣の大学生は女の子がガーターを出してしまったことに対して大盛り上がり。

孤高の中年プレイヤーは気にせずボーリングの球を投げる。目は、真っ直ぐピンしか見ていない。

周りの状況に惑わされず我が道を突き進む。

僕は天才というのは、こういう人のことをいうのかなと勝手に想像していた。

平和下さい

コンビニでピース下さいと頼んでいる老人がいた。

平和下さい?

何ておこがましいジジイだ!

平和なんてコンビニで買えるか!勘違いすんな!

しかもライトもくれとほざいてる。

平和に重いも軽いもあるかぁ!!

いや、待てよ。

このピースジジイは、凄いことを言っているのかもしれない。

日常生活の軽い平和。平和ボケ日本人の中に警鐘を鳴らす一人の老人、いや、もう老師と呼ばせて頂く。老師はきっと、どっぷりぬるま湯に浸かり過ぎるのは危険だぜと言っているのではなかろうか。多少、日常には危険なことがあってもいい。平和に浸かりすぎると周りが見えなくなるぜと言っているのではないか。

色々な解釈はあるだろうが、平和の対義語は戦争ではない。

しかし、一人の老師はコンビニで平和を買おうと粋な、はからいをしている。きっと、まだまだ日本人も捨てたもんじゃないと僕は思ってしまった。