泥だんごを23年間、保存していた。
誰にも見つからないように机の引き出しの奥に隠して。
時には、つきたくもない嘘もついた。
危うく、母親や友達に机の引き出しを開けられかけたりもした。
それでも泥だんごを必死に守ってきた。
乾燥しないように霧吹で湿らせ、壊れないように綿を敷き詰め、隙をみては外に持っていったりもした。
家族で旅行に行く時は、信頼できる自宅の真向かいのおばあちゃん家に預け、おばあちゃんがいない時は裏庭の宝箱に隠して土に埋めた。
そんな生活ももう限界。
嘘を嘘で塗り固め、泥だんごを固め、泥だんごを守る為にいろんな事をお座なりにし、犠牲にしてきた。
泥だんごの為だけに。
泥だんごが無ければ何もない人生。
もう泥だんごに振り回されることなんて我慢できない。
そして、泥だんごを机の引き出しから取り出し、私は泥だんごを握り潰した。
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