エルボー道場に入門初日。
ドアをノックして中に入ると、ちょうど館長の肘田さんにお会いしました。
肘田:「おお!君は今日からか!わからないことがあったらすぐに聞いてね!よろしくね!」
緊張と不安でいっぱいだったのですが肘田さんの優しい言葉で少し安心しました。
総額6万円した胴着に着替え、肘田さんの元へ向かいました。
肘田さんは館長室でコーヒーを飲まれていました。
そして立っている僕を見ると、
肘田:「おお!似合うじゃないか!ビシッとしていいねぇ。あ、ちょっと言い忘れてたことあるから、座ってもらえるかな。」
と言って僕を椅子に座らせました。
肘田:「いや実はね、うちに入門する人に必ず買ってもらってるんだけど…。」
肘田さんはおもむろに自分の後ろから、肘のサポーターを取り出しました。
肘田:「これちょっと値段はするんだけど、外国製のいいやつだから。」
僕:「おいくらなんですか?」
肘田:「4万円ぐらいかなぁ…。」
僕:「へぇ~。なるほど…。でも、ちょっと今持ち合わせがなくて…。」
肘田:「だいじょぶ!だいじょぶ!今払ってってことじゃないから!分割でも全然いいしさ!」
僕:「でも4万円はちょっと払えないかも…。」
肘田:「だいじょぶ!だいじょぶ!う~ん、じゃあ今日は特別に3万円でいいよ!」
僕:「え?3万円ですか?うーん。」
肘田:「あ!それだったらもう1個サポーター付けるしさ。」
僕:「はぁ。」
肘田:「え?ダメ?」
僕:「いやダメってわけじゃないですけど…。」
肘田:「君なんなの?入門したんだよね?みんな付けてるんだよ?」
僕:「じゃあ…。わかりました。」
肘田:「え?今わかったって言った?」
僕:「はい……。」
肘田:「じゃあ早速だけど、これにサインしてもらっていい?」
僕:「ハンコとか無いんですけど…。」
肘田:「だいじょぶ!だいじょぶ!拇印でいいから!」
そして僕は肘田さんに言われるがままにサインをし、拇印を押しました。
今振り返ると、もしかしたら騙されていたんじゃないかなぁなんて思うことはありますが、
その時の僕はまだ気づいていなかったのでした。
0 件のコメント:
コメントを投稿