2010年5月26日水曜日

ミートボールは墓で寝る

原動機付自転車のヘルメットケースの中にミートボールを詰め込んだ。

形が崩れるのはしょうがないと母親が呟き、近所に住んでいるお爺さんやお婆さんからは熱い声援が飛び交う。

「最後まで頑張れ!負けるな!!」

この方達の応援を無駄には出来ない。

広背筋と三角筋でその熱い思いを受け止め、上腕二頭筋で力を溜める。

そして、そのパワーを指先で一気に解放させた。

ヘルメットケースに詰め込んだミートボールを見て母親が言う。

「下のミートボールはモーターで熱くなってすぐ腐っちゃうから、よく掻き混ぜなさい。」

先人の知恵だ。

そしてあることに気付く。

肝心のヘルメットが入らない。

隅から隅までミートボールを詰め込んだので隙間が全くと言っていい程無い。

仕方がないのでヘルメットはビーチボールのビニール部分を改造して新しく造った。

「ビニールヘルメットは空気を入れたり、抜いたりできるので伸縮自在なのだ。」

そう語るのはノーベル物理学賞にノミネートされそうでされなかったという、ズドラフ・ズドラフコフ氏(68)だ。

これでヘルメットの問題は解消した。

安心したボクはミートボールを2個いっぺんに頬張る。

ミートボールの甘いたれの風味が鼻の穴をゆっくりとそして確実に通り抜ける。

まるで長年連れ添った老夫婦のように…。

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