2010年5月30日日曜日

最悪をシュミレーション

1  夏の夜中に一人で山に登る。

2  家から遠い山に登る。

3  山の4合目ぐらいでお腹が痛くなる。

4  辺りを見渡してもトイレは無い。

5  トイレを探す。(もう限界に近い)

6  トイレが見つかる。(仮設トイレみたいなもの)

7  トイレに入り、用を足す。(トイレはボットン便所)

8  トイレから出ようとドアを開ける。

9  しかしドアが開かない。

10 ドアを思いっきり蹴る。でも開かない。

11 何度も何度も蹴ったり、押したりするが開かない。

12 窓を探すがトイレに窓は無い。

13 助けを呼ぶ。夜中の山なので誰もいない。

14 携帯電話で助けを呼ぶ。しかし圏外。

15 携帯電話を一生懸命に振る。しかし圏外。

16 ボットン便所なので臭い。

17 真夏なので蒸し暑く、ニオイがモワってする。

18 口呼吸をしていたため、口が渇いて、水をいっぱい飲む。全部無くなる。

19 気が動転する。

20 泣きながらドアを蹴ったり殴ったりする。しかし開かない。

21 疲れてきたので座る。

22 座ったところが丁度ボットン便所の穴で、間違えて穴に落ちる。

23 バシャーン。

24 クソまみれになる。

25 本当にどうすればいいのかわからなくなったので泳いでみる。

26 バタフライをしてみる。

27 疲れたので眠る。 

2010年5月27日木曜日

やっぱり滋賀には石がある

小学校4年生の女の子三人組が夕日を浴びながら下校する。

しげみ:「夜寝るときって何着て寝てるー?」

たまよ:「パジャマ着てるよー。」

うめこ:「しげみちゃんはー?」

しげみ:「あたしもパジャマだよー。」

たまよ:「うめこちゃんはー?」

うめこ:「あたしは鎖かたびら。」

たまよとしげみ:「鎖かたびら?」

うめこ:「うん。鎖かたびら。」

しげみ:「鎖かたびらって何?」

うめこ:「鎧っていうか、防具の一種。」

たまよ:「なんでそんなの着て寝てるの?」

うめこ:「お父さんが言ってたの。敵に殺されないためだって。」

しげみ:「敵って?」

うめこ:「わかんない。お父さんがそう言ってた。」

たまよ:「お父さんってなにしてる人なの?」

うめこ:「脱サラして忍者やってる。」

たまよとしげみ:「すごーい!」

しげみ:「お母さんは?」

うめこ:「お母さんは、キッチンドランカーだよ。」

たまよとしげみ:「ふーん。」

うめこ:「あっ!!」

たまよ:「どうしたの?」

うめこ:「お父さんが忍者やってる事、お母さんが人に言っちゃダメって言ってたんだった。」

しげみ:「大丈夫だよ!わたしたちは誰にも言わないから!」

たまよ:「うん!内緒にする!」

うめこ:「ありがとう。ごめんね…。」

しげみ:「ううん、だいじょうぶだよ!」

うめこ:「でもね……。もしかしたらお父さんが今晩たまよとしげみの家に行くかもしれない……。」

たまよとしげみ:「えっ………………。」


そんな放課後の帰り道。

2010年5月26日水曜日

ミートボールは墓で寝る

原動機付自転車のヘルメットケースの中にミートボールを詰め込んだ。

形が崩れるのはしょうがないと母親が呟き、近所に住んでいるお爺さんやお婆さんからは熱い声援が飛び交う。

「最後まで頑張れ!負けるな!!」

この方達の応援を無駄には出来ない。

広背筋と三角筋でその熱い思いを受け止め、上腕二頭筋で力を溜める。

そして、そのパワーを指先で一気に解放させた。

ヘルメットケースに詰め込んだミートボールを見て母親が言う。

「下のミートボールはモーターで熱くなってすぐ腐っちゃうから、よく掻き混ぜなさい。」

先人の知恵だ。

そしてあることに気付く。

肝心のヘルメットが入らない。

隅から隅までミートボールを詰め込んだので隙間が全くと言っていい程無い。

仕方がないのでヘルメットはビーチボールのビニール部分を改造して新しく造った。

「ビニールヘルメットは空気を入れたり、抜いたりできるので伸縮自在なのだ。」

そう語るのはノーベル物理学賞にノミネートされそうでされなかったという、ズドラフ・ズドラフコフ氏(68)だ。

これでヘルメットの問題は解消した。

安心したボクはミートボールを2個いっぺんに頬張る。

ミートボールの甘いたれの風味が鼻の穴をゆっくりとそして確実に通り抜ける。

まるで長年連れ添った老夫婦のように…。