2010年9月7日火曜日

変なおじさん

地下に逃げ込むと変なおじさんがいました。

昔は力があっただの、日本は牙を抜かれただの、一人でブツブツ壁に向かって喋っています。

外は豪雨だったので、しばらくここにいようと思っていた僕にとって、へんなおじさんは邪魔でしかたがありません。

なので変なおじさんを落ちていた鉄パイプで殴りつけました。

「ぶっ壊してやる。ぶっ壊してやる。」

そう言って、何度も何度も殴りつけました。

しかし変なおじさんは嬉しそうな顔をしています。

「なぜ殴られているのに嬉しそうな顔をしているのですか?」

そう尋ねると、変なおじさんは、

「おじさんはね、君に未来を壊して欲しかったんだ。君がおじさんの未来を壊してくれたから、物凄く嬉しいんだよ。」

僕は変なおじさんが何を言っているのかわかりません。

「実はおじさんはね、君の未来なんだ。未来の君はおじさんなんだ。だからおじさんは君に未来を変えて欲しかったんだ。」

「じゃあ、おじさんは僕ってことですか?」

「うん、おじさんは君なんだ。やっぱりおじさんは過去の自分に期待してよかった。やっぱりおじさんを変えてくれるのは過去の自分だけだったんだ。ありがとう。昔の僕。」

そういうと変なおじさんはぐったりして動かなくなりました。

そして僕はそのあと、警察にパクられてしまいました。

警察の人に

「違うよ。あれは、未来の僕だったんだよ!」

と必死で訴えたのですが、誰も聞いてはくれません。

警察の人の話によると、変なおじさんは本当に変なおじさんだったみたいです。

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