2010年9月13日月曜日

パーティー

「海の底?」

友人は薄っすら生えた髭を触りながら僕に聞く。

「うん。海の底。」

僕はアイスコーヒーを飲みながら答える。

「なにしに行くんだい?」

友人はコーヒーのストローをいじりながら聞く。

「パーティに招待されたんだ。」

「誰から?」

「たこさんにだよ。」

友人はケラケラと笑っている。

「なにを笑っているんだよ。」

「とうとう頭がおかしくなっちゃったと思ってね。」

僕は、そんな友人の言葉を聞いても怒らない。

2010年9月7日火曜日

変なおじさん

地下に逃げ込むと変なおじさんがいました。

昔は力があっただの、日本は牙を抜かれただの、一人でブツブツ壁に向かって喋っています。

外は豪雨だったので、しばらくここにいようと思っていた僕にとって、へんなおじさんは邪魔でしかたがありません。

なので変なおじさんを落ちていた鉄パイプで殴りつけました。

「ぶっ壊してやる。ぶっ壊してやる。」

そう言って、何度も何度も殴りつけました。

しかし変なおじさんは嬉しそうな顔をしています。

「なぜ殴られているのに嬉しそうな顔をしているのですか?」

そう尋ねると、変なおじさんは、

「おじさんはね、君に未来を壊して欲しかったんだ。君がおじさんの未来を壊してくれたから、物凄く嬉しいんだよ。」

僕は変なおじさんが何を言っているのかわかりません。

「実はおじさんはね、君の未来なんだ。未来の君はおじさんなんだ。だからおじさんは君に未来を変えて欲しかったんだ。」

「じゃあ、おじさんは僕ってことですか?」

「うん、おじさんは君なんだ。やっぱりおじさんは過去の自分に期待してよかった。やっぱりおじさんを変えてくれるのは過去の自分だけだったんだ。ありがとう。昔の僕。」

そういうと変なおじさんはぐったりして動かなくなりました。

そして僕はそのあと、警察にパクられてしまいました。

警察の人に

「違うよ。あれは、未来の僕だったんだよ!」

と必死で訴えたのですが、誰も聞いてはくれません。

警察の人の話によると、変なおじさんは本当に変なおじさんだったみたいです。

2010年9月3日金曜日

性癖

全面ガラス張りの部屋。

ガラスに張り付くように無数のおじさん達。

「出ーせっ!出ーせっ!」

おじさん達は叫んでいる。

裸の僕は四つん這いになる。

「おぉー!」

ガラスの向こうからどよめきが起こる。

パシャっパシャっ

無数のシャッターが僕に注がれる。

「恥ずかしいかぁー!!?」

おじさん達は叫ぶ。

そして僕も

「恥ずかしいでぇーす!!」

と叫ぶ。

そんな性癖を持っている僕。

好きでいてくれますか?