「相席いいですか?」
誰もいない店内で面長長髪サングラス無駄な泣きぼくろの男性に小さな声を掛けられる。
「どうぞ」
無駄な泣きぼくろは正面席に座る。
目線を文字に戻す。
。
「ガムいりますか。」
小さな声で板ガムを差し出すほくろ。
「大丈夫です。」
目線を文字に戻す。
。
「ガムを噛んだ後、どこに捨てますか。」
小さな声で聞かれる。
「包み紙に包んでゴミ箱に捨てます。」
「道に吐き捨てられた黒ずんだガムの跡を見るとロマンティシズムを感じます。どんな人が噛んだガムなのだろうか、そのガムを行き交う人々が踏みつけて、段々と黒くなっていき、地面に刷り込まれて模様のようになっていく。」
目線を文字に戻す。
「友達になっていただけませんか。」
ほくろが少しだけ大きな声で言った。